彼は、理想の tall man~first season~
chapter.17
胸の中がワサワサしていた。
彼氏が出来ただけなのに、見ていた風景に、光や輝きが増したように見えて。
なんだかこれから楽しくなるんじゃないかって、私は浮き足立っていた。
恋愛には向いてないと――神様にもそっぽを向かれているんだと思ったけれど。
自分でも、まさかだった話の流れに――その流れに乗れたという事実に――。
人生まだまだ捨てたもんじゃない、とか思っていた。
「美紗ちゃん」
「は、はい」
「お腹は、空いてない?」
「え――あっ、ちょっと減った気も」
「なら一旦、中に入って、食べてからまたここ来る?」
「・・・・・・いいんですか?」
たまにはゆっくりこういうのも悪くないからね――と、中條氏は、ふっと顔を緩ませた。
やっぱり年上っていいなとか思っていると、行こうかと促されて、私は黙って頷き返した。
何が食べたいかと聞かれ、和食がいいと答えると、中條氏はそのまま和食屋さんに向かってくれて。
そして、決めたお店に入って席に案内され、向かい合って座ると、急に気恥ずかしさが込み上げてきた。