彼は、理想の tall man~first season~

中條氏が私の彼氏になったんだって改めて思ってしまうと、まだ慣れることのないドキドキに襲われる。

まるで夢を見ているような、これが現実なのかどうなのかも見失いそうな――そんな感じで。

この先大丈夫かと、少し自分が心配になった。


店員さんから渡されたメニューに目を通し、少ししてから、中條氏に「決まった?」と、声を掛けられ、黙って頷いた私。

中條氏と2人っきりの外食は、これが2回目。

初めての時と関係が変化していることに、私はやはりどこか信じられない気持ちになった。


注文をして、それが届くまでの間、お茶に数回手を伸ばして、飲むという作業を繰り返してみたけれど。

変な緊張が解れることはなくて。

それは私にとって、ぎこちない時間になりつつあった。

ただ、こういう――付き合うみたいな事は、本当に久し振りだから、どうする事も出来ない。

まして、お店の雰囲気が、ベラベラ喋っていいような雰囲気でもない。

店内には、お琴の旋律が、ほど良い音量で流れていて、物凄く落ち着いている。
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