彼は、理想の tall man~first season~
言葉にしてくれないと、解らない。
でも、言葉にしたって解らない事だってある。
恋をしたところで――付き合い始めたところで――その先の進み方が解らないなんて。
今時の中高生よりも、恋愛偏差値が低い気がしてならない。
そんなこんなで、軽く溜め息を吐いてしまった私に――
「疲れた?」
中條氏からそう聞かれ、ハッとして――私は慌てて首を横に振った。
「お待たせ致しました」
丁度そのタイミングで、私と中條氏のお膳が運ばれ。
救いの神に見えた店員さんは、お膳を置くと当たり前に去って行った。
いただきます――と、小声で言い、手を合わせた私。
その私を見ていた中條氏は、どうしてか小さく笑った。
何か変だったかなと、ちょっと気になりつつも――いただきますと、中條氏もそう言い。
お膳にあったお箸を手にしたので、私もそれに倣ってお箸を手に取った。
「時間に追われてない空港での食事って、初めてかも」
「え?」
「空港って、出張の時くらいしか来ないから」
「あ、そうですよね」