彼は、理想の tall man~first season~
「あ! でも、中條さん吸われます?」
「いや、大丈夫だよ。そこまで吸いたい訳じゃないし」
「そうですか?」
「うん。喫煙者が言うなって感じだけど、あの中で吸う煙草って、うまくないし」
「・・・・・・ですよね」
多分、私に合わせてそう言ってくれたんだと思った。
言わなくていいことまで言ってしまった気がして、ちょっと失敗した気になる。
これが尚輝だったら間違いなく私の意見なんて無視で、この場で放置だろうけど。
大人の対応をしてくれた中條氏に、やっぱり年上の男性っていいなと思った。
姿勢良く背筋が伸びていて、スタイルがいい。
そういう人の歩く姿は、申し分なくカッコイイ。
そんな中條氏の隣を歩くのは恐れ入ってしまうけれど。
背の高い人が隣を歩いてくれると、なんとなく芽生えるのは、安心感。
これで、晃の事を考えなくてもいい状態なら――。
本当にどれだけよかったかと、次に芽生えたのは、やっぱりそんな後悔だった。
昔の事だし後悔とは思いたくないけれど――人生が好転した今となっては、やはりそう思ってしまう。