彼は、理想の tall man~first season~

それにしても、向かって歩いて来る人から、中條氏は結構な割合で見られている気がする。

高い背はインパクトが強いんだろうけど、プラスして顔の作りもいいから――。

いい男というのもなかなか大変なんだな。

そう思いながら、その横顔を見ていると、その視線が突然私に向き。

別に悪いことをしていた訳ではないのに、私は咄嗟に、やばいって焦りに襲われた。


「なに、どうかした?」

「す、すみません。なんでもないんですけど、」

「ないんですけど?」

「――え?」


やばっ!!

変な所で言葉を止めるんじゃなかった。

再び失敗した気になって、再度中條氏を見ると――。


「いや、気付いた瞬間焦った顔してたから」


どうしよう・・・・・・。

どう対処したらいいんだろう。

ズバリ言い当てられ、私はテンパった。


「別に責めてる訳じゃないよ」

「あ・・・・・・はい」

「でも、何かなって気になったから」


足を止めてそう言われたから、私も足を止めてしまった。

微妙に通行人の邪魔になると思われるこの場所。

中條氏もそう思ったみたいで、通路の柱の陰に移動した。
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