彼は、理想の tall man~first season~
chapter.02*
「――さ、みさ、おいっ、美紗起きろよ」
「っ、はいっ!?」
体を揺すられて、尚輝の声にハッとして目を開けると――マンション下の駐車場だった。
「あれ・・・・・・私、寝てた?」
「グッスリな」
今朝は早かったから――なんて心の中で言い訳して、呆れた顔をしている尚輝に気付かないフリをした。
田舎めなこの場所に、半年前に完成していたらしいマンションは、入居者が未だに戸数に対して満たされていない。
だから、かなり安く借りられた。
「どんだけ疲れてんだよ」
「ちょっと、歩き回り過ぎちゃったみたい」
「ったく、しょうがねぇな。 部屋まで荷物は持ってってやるから、自分で歩けよ?」
「うん」
なんだかんだ言っても、尚輝は私に甘い。
誕生日も生まれた時間も場所も同じ。
先に出たか後に出たかの差で、尚輝は一応私の兄って存在だ。
幼稚園から高校まで一緒の学び舎だった尚輝とは、大学で漸く別の学び舎になったくらい、ずっと一緒の道を歩んでいた。
その尚輝とは、なんの抵抗もなく、離れられなかった。
一緒じゃない環境って、私にはどうもピンとこない。