彼は、理想の tall man~first season~

「あの、」

「ん?」

「特に・・・・・・深い意味はないんですけど、」

「うん」

「中條さんて、人の視線が集まるんだなと、思って」

「いや、それはどうかな」

「本当に・・・・・・すれ違う人の視線が、」

「それ、自分に向いてるとは思わなかった?」

「えっ? 自分にって――私にって事ですか?」

「うん」

「全く思わなかったですけど」

「それじゃ、俺は合格かな?」

「合格って、何がですか?」


中條氏の言いたいことが、全く解らなかった。

だけど、彼は何故かちょっと楽しそうに笑っていた。


「昨日、彼氏と街中歩いても、人目が気になるような話をしてたでしょ?」

「え? あー、そう・・・・・・でしたね」

「自分への視線だって感じなかったって事は、俺と街中を歩いても苦にはならない?」

「そう、かも知れないですね」

「って事は、俺は晴れて合格なのかな」


てっきり不快な気分にさせてしまったのかと思ったけれど。

今迄になかった視点や感覚に、ちょっと感動してしまった。
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