彼は、理想の tall man~first season~
握られた手の温かさに、他人の誰かと手を繋いで歩くのは、何年振りだろうかと考えた。
けど――そんな過去の事より、今のこのドキドキに勝るものはなくて。
この人が私の彼氏なんだと、繋がった手の温かさで――私の心の中は、想像していた以上に、満たされていた。
昔、面倒だと思っていた、男女交際ってヤツは――意外に悪くはないのかも知れない。
中條氏が相手だからそう思うのかどうなのか、それは定かではないけれど。
でも、多分そうなんだろうな。
中條氏をどんどん好きになってしまいそうな――というか、既に進行形で好きになっている。
あれだけ躊躇していたのに――もう、この気持ちにはブレーキなんてかけられないだろうと、私は思っていた。
誰かと比べて、この人はどうだとか。
私がどうだから、こういう人がいいだとか。
今までの恋愛みたいなのではなくて。
そういう事を抜きに、大人の恋がしてみたい。
まあ、始まりのキッカケは、第一に背みたいな部分はあったけれど。
それはどうであれ――本当に大切なのはこれからだ。