彼は、理想の tall man~first season~
忘れていた。
そんなこと――すっかり私は忘れていた。
お見合いの件は、あの時尚輝がどうにかしてくれたと思っていたし。
それに、もう本当に彼氏が出来た。
嘘偽ることもなく、お見合いなんて、する必要がない。
叔母さんのことは、昔結構な苦手意識を持っていたけれど、やっぱり今でも苦手だと思ってしまった。
「叔母さんごめんね。私、お見合いはする気ないよ」
『美紗ちゃん? もう、何言って、』
「そんなにいい人なら、お見合いしたいって人が、他にいるんじゃないの?」
『もう、美紗ちゃん、いい? 今の時代、』
そこで携帯を耳から離した。
折角いい気分だったのに。
ここでお小言は貰いたくない。
それになにより聞きたくない。
隣で風景を眺めていた敦君は、チラリと私の方を見ると。
「代わろうか?」
そんな、とんでもないことを言い出した。
「まだ繋がってるんでしょ?」
「はい・・・・・・まぁ」
貸してと言われ、ポカンとしていると、彼は私の手から携帯を取り上げた。