彼は、理想の tall man~first season~

少し経ってから「美紗ちゃん」と、彼からそう呼ばれて振り返ると。

「電話、代わってって・・・・・・お父さんが」

「――えぇっ!?」

電話の相手は、まさかのパピーな展開で。

私は頭を下げてその携帯を受け取った。


「っもしもしっ」

『美紗か、久し振りだな』

「あ、うん。お父さんも元気だった?」

母とは、電話でまめに話をしていたけれど。

父とのそれは、結構久々だったように思う。


『先週はフライトで出てたんだけどな、今週はこっちでゆっくり出来てる』

「へ、へぇ・・・・・・そうなんだ」

『デートしてるのか?』

「えっ? う、うん・・・・・・そんな感じかな」

『空港にいるのか? 音が、』

「ああ、うん。ちょっと今日は羽田に」

そうか――なんて返された。

だけど、私はデートしているのかどうなのかを父親から初めて聞かれて、かなりドキドキしていた。


『美紗の彼氏は、なかなかいい人そうじゃないか』

「――うん」

やっぱり電話に出たのはお父さんだったんだ。
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