彼は、理想の tall man~first season~

叔母さんにお母様に代わって頂けませんかって、確かに敦君はそう言ったのに。

叔母さんも本当にイヤらしい所があるなと思って、軽く溜息ものだった。


「尚輝と同じ会社の人で」

『そうらしいな』

そういうことまで話をしていたっぽい2人。

お見合い話もどうかと思うけれど、これはこれでどうなんだろう。

電話を代わってもらってしまったことに、申し訳ない気持ちになった。


「今日は、叔母さんが来てるんだ」

『ああ、見合い相手の写真持って、さっきな』

「私、お見合いなんてする気ないから、お父さんからもちゃんと叔母さんに断ってよね?」

『美紗に彼氏がいるって分かったから、きちんと断るように言っておくよ』

「絶対だからね!!」

『ハハハ』

「もうっ、笑い事じゃないんだからっ」

『もともと、美紗にお見合いさせる気はなかったから、大丈夫だよ』

「うん」

大好きな父と、羽田空港の展望デッキで話しているなんて、変な感じだった。

けど、久々に話した父は、やっぱり声が優しくて。

ちょっとホームシックにかかりそうな、そんな気分だった。
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