彼は、理想の tall man~first season~
『名前は、確か、なかじょうさんだったか? 一度会ってみたいな』
「うん、機会があればね」
『まぁ彼にもそれは伝えてあるから、』
「ちょっ、お父さん!! そんなこと言ったの?」
『いや、彼もそう言ってはいたから、な』
「でも、いきなりそんなこと」
どうなの?
ありなの?
さっき付き合い始めたばかりなのに。
軽く酸欠に陥りそうな感じで、焦ってしまった。
『兎に角、近いうちに顔見せに帰っておいで』
「うん!! 尚輝にも言っておくね」
『ああ。それより、何か困ったことがあれば、なんでも言って来るんだぞ』
「うん、ありがと。あ、お父さん」
『うん?』
「あ、ううん。やっぱり後でもいいかな。また電話するね」
じゃあね、と通話を終えて、携帯を閉じた。
お父さんも、元気そうだった。
久し振りに話が出来て、良かった。
そう思いながら、私は携帯をバッグの中にしまった。
「おばさんて人は、なかなか手強そうだね」
彼は苦笑い混じりにそう言い、フェンス越しに見える飛行機へ視線を動かした。