彼は、理想の tall man~first season~
「すみませんでした」
「ん、なにが?」
「いえ、その・・・・・・お電話代わって頂いて」
「そんなこと気にしないの。お見合いなんてことになったら、俺も困るし」
フッと笑いながら、風で少し乱れた私の髪を、するりと整えてくれた彼の行動に、私は嫌でもドキドキさせられ。
「だけど、かなり焦ったかな」
「え?」
何かを思い出したのか、敦君はクスクスと笑っていた。
「美紗ちゃんのお母さんが出るのかと思ってたけど、電話に出たのがお父さんで、本気で焦った」
「本当に、すみません!! 間違いなく、叔母さんの仕業です」
「いや、挨拶が出来たから、丁度良かったんだけど。予想外の行動に出られると、俺もまだまだだなって思うよ」
見ていた背中からは、全く焦った雰囲気なんてなかったのに。
そんな風に言って笑った彼は、やっぱり大人の男の人って感じだった。
「声を聴いた感じ、優しそうなお父さんて思ったけど」
「んー、そうですね。私には優しいかな」
「尚輝には厳しいの?」
「って、尚輝は言ってました」
「どこも一緒だ」