彼は、理想の tall man~first season~
「小さい頃は、パパが恋人って言ってたみたいです」
「本当に大好きだったんだ」
「父のことは、誰よりもカッコイイって思ってました」
たまに見に来てくれた参観日とか、発表会とか。
父は誰よりも、どのお父さんよりもかっこよくて、それが私の自慢でもあったんだ。
「尚輝は、父のフライトを見送りに行って、泣いていた私の宥め役で。多分尚輝も寂しい思いはしていたと思うんですけど、我慢しいになっちゃた所もあって」
「そうだったんだ」
「私があんまり甘えちゃうもんだから、自分が父親にどう甘えたらいいかって、それが解らなかったかも知れません」
「なるほどねぇ」
だから変に尚輝は自立心が強くて、余り親に頼らずというスタンスだ。
そんな尚輝を頼もしいと思う反面、そうなってしまったのは、私のそういう事が背景としてあるからかな、とか。
若干負い目があったりする。
「ああ、そう言えば、バーのマスターに電話するんじゃなかったっけ?」
「あ! そうだった」
本来の目的を思い出した私は、再び携帯を手にした。