彼は、理想の tall man~first season~

「小さい頃は、パパが恋人って言ってたみたいです」

「本当に大好きだったんだ」

「父のことは、誰よりもカッコイイって思ってました」

たまに見に来てくれた参観日とか、発表会とか。

父は誰よりも、どのお父さんよりもかっこよくて、それが私の自慢でもあったんだ。


「尚輝は、父のフライトを見送りに行って、泣いていた私の宥め役で。多分尚輝も寂しい思いはしていたと思うんですけど、我慢しいになっちゃた所もあって」

「そうだったんだ」

「私があんまり甘えちゃうもんだから、自分が父親にどう甘えたらいいかって、それが解らなかったかも知れません」

「なるほどねぇ」

だから変に尚輝は自立心が強くて、余り親に頼らずというスタンスだ。

そんな尚輝を頼もしいと思う反面、そうなってしまったのは、私のそういう事が背景としてあるからかな、とか。

若干負い目があったりする。


「ああ、そう言えば、バーのマスターに電話するんじゃなかったっけ?」

「あ! そうだった」

本来の目的を思い出した私は、再び携帯を手にした。
< 336 / 807 >

この作品をシェア

pagetop