彼は、理想の tall man~first season~
『そのかわり、お前飯作り来いよ。最近ロクなもん食ってねぇんだよ』
「えーっ、それは新しいバイトの子に頼んでよ」
『お前なー、野郎にんなこと頼めるかよ』
「え? 今度のバイト、男の人なの?」
『腕はいいんだけどなー愛想なし。でも顔はいいぞー若ぇし』
「ふぅん。まあ、いいや。それじゃ、来週の土曜日に予約ということで」
『その前に、来週の金曜、店に顔出せよ』
「えー、考えとく。じゃあね」
『ったく、美紗は相変わらずだな。じゃーな』
久々のマスターとの会話に、心を弾ませながら通話を終えた。
取り合えず、練習場所確保完了!
ホッとしながら、バッグの中に携帯を戻した。
来週の金曜か・・・・・・。
久々にマスターのお店に行きたいかも。
でも一人で行くのもなぁと思って、私はちょっと勇気を出してみた。
「あの、来週末って、空いてますか?」
「来週末は、空いてますよ」
「え?」
「余所余所しい返し」
「あ・・・・・・そうだった」
余所余所しい会話に戻っていたことを指摘されて、なかなかこれって難しいとか思いながら、私は敦君の予定を更に探った。