彼は、理想の tall man~first season~

「2時頃からなら、大丈夫そうだって」

「本当ですか? 良かった」

藤本さんに時間の都合をつけてもらえるなら、やっぱり金曜の夜はお店に行って、マスターに具体的にお願いをしようかな。

お店を開ける前なら、いいって言ってくれたし、そこまでしなくても、あのマスターのことだから、大丈夫だろうけど。

念には念をだ――。


まぁ、この際金曜の夜は一人でも仕方ないか。

マスターとは、久し振りに会うから、世間話にひと花ふた花咲かせて。

うん、よし!

そうと決まれば、早く来い金曜日。

久し振りにBARに行くことが楽しみで、私の気分は上々だった。


「勤め歴は長かったの?」

「はい?」

「その、BARのさ」

「バーのアルバイトは、3年とちょっとくらいで――かな」


やっぱり慣れない、余所余所しい話し方NGトーク。

それに気付いたっぽい敦君も、フッと笑っていた。


その後の時間は、飛行機が飛び立つ勇姿を、肩を並べてゆっくりと眺め見た。

特段、飛行機マニアでもない私は、飛行機のうんちくが語れるでもない。
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