彼は、理想の tall man~first season~
だけど、お父さんが心配って、いったい何を心配するんだろ。
それって、娘の交際相手を心配したってこと?
普段どっしりと構えていて、落ち着いた雰囲気の、あのお父さんが?
そんなことは、うちのお父さんに限って、ないと思っていたけれど――。
「みさー、ビールも取って」
「あ、はーい」
尚輝の掛け声に、我に返った私は、ビールとドレッシングを手にして、リビングにいる男3人の輪に向かった。
前半6分――試合は既に始まっていて、青と赤のユニフォームが、テレビ画面の中で、懸命に動き回っていてた。
ピザをかじりながら――サラダを口に放りながら見始めたサッカー中継。
「そこから、逆サイ!」
晃の上げた声。
「ッシャ! 繋がった!」
尚輝の上げた声。
まあ、気付けば私も、すっかり熱中してしまっていた。
そして、前半30分――。
国立競技場には雨が降り始め、飛行場で感じていた予感が的中した。
そのことに、私はひとり心の中で『やっぱり』なんて呟いた。