彼は、理想の tall man~first season~
chapter.19
「どうせなら、俺、フットサルやりてぇな」
「あんでだよ、バスケだろ」
「バスケもいいけど、サッカー観てると、やっぱ蹴りたくならねえ?」
「まぁな」
前半戦が終了して、ハーフタイムに入った途端の尚輝と晃のその会話に、晃がバスケを辞めたと言っていた事を思い出した。
「ここの市って、結構チームあるみたいだぞ」
「どっちの?」
「俺がリサーチしたんだから、バスケに決まってんだろ」
「だよな」
新たにチームを探しているらしい晃と、尚輝も一緒にやる気でいるのか?
「今度、ちょっくら市民体育館に、様子見に行こうぜ」
「おぅ」
そのやり取りから、一緒にやる気なんだと伺い知れた。
「あれ、敦さんビール飲まないの?」
尚輝の声に視線を動かすと、多分最初に持っていたビール缶がそのまま開けられず、テーブルに置いてあった。
「美紗、冷蔵庫のと――」
尚輝にそれを言われる前に立ち上がって、交換してくるという意思表示をした私。
だけど、その時ふと思った。
敦さんは、飲む気分ではないのかなと。