彼は、理想の tall man~first season~
chapter.19

「どうせなら、俺、フットサルやりてぇな」

「あんでだよ、バスケだろ」

「バスケもいいけど、サッカー観てると、やっぱ蹴りたくならねえ?」

「まぁな」

前半戦が終了して、ハーフタイムに入った途端の尚輝と晃のその会話に、晃がバスケを辞めたと言っていた事を思い出した。


「ここの市って、結構チームあるみたいだぞ」

「どっちの?」

「俺がリサーチしたんだから、バスケに決まってんだろ」

「だよな」

新たにチームを探しているらしい晃と、尚輝も一緒にやる気でいるのか?

「今度、ちょっくら市民体育館に、様子見に行こうぜ」

「おぅ」

そのやり取りから、一緒にやる気なんだと伺い知れた。


「あれ、敦さんビール飲まないの?」

尚輝の声に視線を動かすと、多分最初に持っていたビール缶がそのまま開けられず、テーブルに置いてあった。

「美紗、冷蔵庫のと――」

尚輝にそれを言われる前に立ち上がって、交換してくるという意思表示をした私。

だけど、その時ふと思った。

敦さんは、飲む気分ではないのかなと。
< 357 / 807 >

この作品をシェア

pagetop