彼は、理想の tall man~first season~
それでも、やっぱり、最近思うんだ。
このままじゃ、なんか寂しいよなって。
中高生みたいな、甘酸っぱい恋を求めている訳じゃないけど。
でも、誰かに心を乱されたりだとか――そういうのが、久々にあってもいいんじゃないのかなって。
それが、私の理想通りの、大人の男なら。
性格が多少悪くても、逆にそれはそれでいいかもとか。
エレベーターの箱の中で、中條氏の背中を見ながら、そう考えていた私は、微妙にドキドキとかし始めてて。
やっぱり、なんでよ――って、自分自身に突っ込んでいた。
私よりも20センチ以上、背の高い人が理想。
中條氏は、そうだというのを、尚輝の背丈と比べても、確信はしていて。
そういう人に、抱き締められたら、包まれる感覚はどんな感じなんだろう――とか、私はバカみたいに考えていた。
この時点で、女としての自我は芽生えていた。
けれど、それを認めたくない自分も確かにいたんだ――。