彼は、理想の tall man~first season~
chapter.20
― 中條 side ―
どうかしていると、思った。
大して飲んでもないのに。
視線が俺に向けられた瞬間――彼女の上目遣いに、キスをしたい衝動に駆られた。
そのまま彼女が目を閉じたならば、間違いなくそれを行動に移していたであろう俺は、本当にどうかしていると思った。
今彼女の部屋を抜け出した意味を、降り行く箱の中で改めて考える。
聞き流すことの出来ない、彼女のセクハラ問題。
彼女はあまりそれを追求されることを望んではいないようだったが――そのままにしていい問題ではない。
会社を辞めろと、尚輝のように言うつもりはないが。
『仕方がない』で、終わりには出来なかった。
ただ――俺の腰を巻くベルトに彼女を掴ませて歩いていると、突然それが軽くなり。
俺の左腕に、彼女が自分の腕を絡ませ――。
そこで俺のセクハラ問題に対する思考は、いとも簡単に停止した。
正直、女性とこういう風に親しく付き合うのは、久し振りの事であり。
今日彼女と手を繋いだのも、なかなか勇気のいる行動だった。
どうかしていると、思った。
大して飲んでもないのに。
視線が俺に向けられた瞬間――彼女の上目遣いに、キスをしたい衝動に駆られた。
そのまま彼女が目を閉じたならば、間違いなくそれを行動に移していたであろう俺は、本当にどうかしていると思った。
今彼女の部屋を抜け出した意味を、降り行く箱の中で改めて考える。
聞き流すことの出来ない、彼女のセクハラ問題。
彼女はあまりそれを追求されることを望んではいないようだったが――そのままにしていい問題ではない。
会社を辞めろと、尚輝のように言うつもりはないが。
『仕方がない』で、終わりには出来なかった。
ただ――俺の腰を巻くベルトに彼女を掴ませて歩いていると、突然それが軽くなり。
俺の左腕に、彼女が自分の腕を絡ませ――。
そこで俺のセクハラ問題に対する思考は、いとも簡単に停止した。
正直、女性とこういう風に親しく付き合うのは、久し振りの事であり。
今日彼女と手を繋いだのも、なかなか勇気のいる行動だった。