彼は、理想の tall man~first season~

「美紗」

「ん?」

「敦さん、今日、うちに泊まるから」

「へ――えっ?」

「いや、明日なんも用事ないって言うからさ、さっきコンビニで、今日はとことん飲もうってことになって、」

「ちょっ、いきなり勝手に、」

「悪い。でも、俺も引っ越しの片づけばっかだったし、プライベートで敦さんと飲める機会なんて滅多にないし、マジでこういうの久々なんだよ」

「じゃあ、私、出掛けてくるよ」


この時浮かんだのは晃の顔で。

私は、晃と飲もうと、考えた。


「そこまでしなくても、美紗も一緒に飲めばいいだろ?」

「えっ、私も?」


――うん、そう。

なんて言って、尚輝は暢気に笑ってる。


因みに今は、私の部屋まで荷物を置きに来てくれた尚輝と2人きり。


顔を顰めた私に、別に問題ないだろ? と、尚輝はそう言って来たけれど。


ないと言えばない――でも、あると言えばあるってなもんで。

かと言って、飲んでもいいけど帰ってもらってよね、とか。

そんな失礼なことは言えない。


疲れてるから、これから出掛けるのは、やや面倒。

晃を誘っても、暇かどうかも分からない。

ってなると――。
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