彼は、理想の tall man~first season~
少し揺れながら歩いている彼女と、幾たびか肩が軽くぶつかっている状況に、正直どうしたもんかと、男として戸惑う。
「酔ってるの?」
自分でも馬鹿げたことを聞いている自覚はあった、が――妹よりも下の子と付き合うのは初めての事。
どんな対応をしたらいいものなのか?
年齢差に囚われた事など今迄になく、そんな自分自身にも戸惑う。
松本と3人で飲みに行った日よりも、彼女がさっき飲んだ酒の量は明らかに少ない。
だけど、雰囲気はあの日よりも酔っている。
それを解っていながらも、そう聞いていたのは、俺のほんの少しの照れ隠しか?
歩道を歩きながら、軽く頷いた彼女は「今日はなんだか酔ってます」と、自己申告。
ウィスキーよりも焼酎の方が弱いのか?
珍しいタイプだと思いながら、彼女との距離に戸惑いながら歩幅を合わせた。
軽く見上げた空は星がなく、どんよりとしたように見え。
そろそろ此方にも雨が降るかも知れないと、俺は観ていたサッカー中継を思い出していた。