彼は、理想の tall man~first season~
本気で罰ゲームなんて考えていた訳でもなかったが。
この際、ちょっと考えてみようか――。
そう思っていると、敦君――と彼女が俺の名を呼んだ。
何かと思って彼女へ目を向けると。
「雨、降って来ちゃった」
彼女は左の手の平を空に翳し、小粒の雨をキャッチしていた。
昨日みたいに激しい雨になる前に――そう思い、彼女の腕を解き。
手を握り、軽く走った。
マンションから一直線のコンビニに駆け込むと、
「私、雨女なのかな」
彼女はそう言いながら、少し息を切らせ、笑った。
ただの偶然にしか過ぎないが、彼女が雨女ならば、俺は雨男ということになるだろう。
そんなことを考えていると――帰路の途中だったのか?
コンビニに駆け込んで来る客が数人。
店内は軽く濡れた人間で賑わい始め、店のガラスは強まった雨によって濡れ。
帰りはどうしようかと思っていた所で、入口脇に陳列されている傘に目が向き。
既にそれを手に取る客もいて、俺もその傘を2本手にした。