彼は、理想の tall man~first season~

雑誌コーナーで表紙を見ているのか?

女性向けのファッション誌に目を向けている彼女。


尚輝も今じゃすっかり企業人ではあるが。

元モデルという肩書を実感させられることは多々ある。

モデル体型と断言出来る彼女の容姿は、やはり尚輝と同じ血が流れているんだなと、思わずその姿に見入ってしまった。

生き方を途中で変えていたならば――その表紙を飾ることも、可能だったのではないかと。


今の彼女は、細身のジーパンにTシャツ、そしてスニーカーというラフな格好。

そんなに着飾らなくても、ラフさを感じさせない。

着飾っても、服に着せられてしまっている人間をたまに街で見みかけるが、彼女は逆で。

ラフな格好でも遜色なく、寧ろ着るものを栄えさせているように思う。

そんな彼女がそれこそ派手に着飾ったら、凄いことになるんじゃなかろうかと思いながら近付くと。

彼女は「雨凄いね」と、ガラス越しに外を見ていた。


俺の肩下くらいの背丈で、接しやすく話しやすい。

感覚的に、このくらいの身長差がベストだと思いながら、彼女の隣に立った。
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