彼は、理想の tall man~first season~

ビニール傘は購入予定で、確保してあるが。

今の降り方じゃ、傘の意味をなさないかも知れない。

そう思うと、早く弱まらないかという事態だ。


軽く時間を潰そうかと、店内を見て回り。

弁当や惣菜コーナーで、晃の小腹を満たしてくれそうな食を物色。


「敦君、お腹すいてるの?」

「ん? これは、晃の」

「晃のかぁ。晃のなら、」

こういうのが好きかな――と、彼女は揚出し豆腐を手に取り。

そして、後は――と、そう言いながら他にもいくつか選んでいた。


晃と一緒に住んでいるとは言っても、食の好みまで把握していない俺は、正直助かったと思ったが――。

あれ好きこれ好きと選んでいた彼女に、問いたくなった。


『君と晃は、いったいどこまでの関係なのか』

――――と。


どんな関係だろうと構わない、そうは思っていても。

実際の所、今朝聞こえて来た2人の会話というのは、気にせずにいられるレベルの会話ではなく。

俺が違和感を抱いた、尚輝のあの言葉も気になっていた。

『俺、なんかもう限界』

それは、一体、なにがもう限界なのか?
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