彼は、理想の tall man~first season~
まさか双子の妹を好きだとか、そんな少女漫画のような気持ちは抱いてはいないだろうから。
その考えを踏まえず考えると。
彼女が晃に腹を立ててリビングに戻って来た状況で、その状況から出て来た尚輝の呟き。
それは、まるで2人を引き離したいような――そんな感じの雰囲気を感じたが。
「敦君は、なにか食べる?」
「――ん? ああ、俺はもう大丈夫かな」
「今日って、まだ、飲む?」
本音を言ってしまえば、帰って寝てしまいたい。
が、彼女と晃を同じ空間に――というのは、2人の関係がハッキリ見えて来ない今、あまりそうもさせられない。
「美紗ちゃんは、飲む?」
「んー、悩み中、かな」
「悩み中?」
「うん。だって、敦君が飲まないなら、飲んでてもつまらないし」
「――え?」
彼女はそんな可愛いことを言った後、“あ、言っちゃった”みたいな顔をした。
頬をほんのり染めた、そんな彼女の姿を見てしまったら――。
飲まない訳にはいかないだろうと、単細胞な俺は思った。
男なんて、単純で簡単な生き物だ。
でも、それでいいだろと思っている俺は、完全に彼女に溺れているんだろう。