彼は、理想の tall man~first season~

「戻ったらウィスキー飲む?」

そう聞いていた俺に、嬉しそうに頷く彼女。

その顔は、やけに可愛く、俺の目に映った。


必要な物を買い、傘を差してマンションに戻ると、お互いの濡れ具合に、やっぱりこうなるよね――と、苦笑い。


人より背が高い分、横なぐりに降られれば、その分人よりも濡れる。

横なぐり三歩手前だった雨にやられ、彼女の部屋へと戻った。


「尚輝、タオル持って来てくれない?」

玄関から彼女がそう叫ぶと、尚輝がスタスタと廊下を歩きながら、「また雨か?」と――彼女を見て笑う。

雨に濡れてるなら風呂に入って来いと言われた彼女は、大人しく尚輝に従い、脱衣所へと姿を消した。


俺は尚輝から渡されたタオルを手に、尚輝の部屋に通され。

律儀にも着替えを貸してくれた尚輝の厚意に甘え、着替えさせてもらった。

それから数十分、男3人リビングでやり過ごしていると、シャワーを終え彼女が入って来た。


パッと見、綺麗に見える肌は、ほんのりと紅潮。

普段あまり化粧が濃くないであろう彼女のスッピンに、違和感はない。
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