彼は、理想の tall man~first season~
chapter.21
「うんうん、それで?」
「それで――お付き合いをすることになりまして」
「わぁお! おめでとう! やっとだねぇ! 美紗に待望の彼氏!」
休日はとうに過ぎ、週中の水曜日。
ヨガ帰りに智子とカフェに寄り道。
そこで初めて私が敦君と付き合い始めたことを智子に話した。
電話でもメールでも言えなかったこの報告は、考えていた以上に胸がくすぐったく。
智子の反応は予想していた反応だったけれど。
いざ改めて言葉でおめでとうと言われると、照れる。
「で、その後はどんな感じなのよ?」
「――特に、なにも」
「は?」
「いや、まだ付き合い始めたばっかりだし」
「ちょ、ちょっと!」
「今週は忙しいみたいなこと、この間言ってたし」
「電話とかメールは?」
「特にしてないけど」
「え? なんでよ?」
「いや、なんでって聞かれてもねぇ。特に用もないし。向こうからもないし。まぁ、用事があっても忙しいだろうから掛けにくい、みたいな」
「次会う約束は?」
「一応、土曜日に用事があるから、会うことにはると思いますけど」