彼は、理想の tall man~first season~
「まあ、でも、アキラ君がどれだけ美紗を好きなのかは知らないけど。美紗が中條さんに本気だって解れば、下手なことは出来ない、か」
「ね、どうしてそう思うの?」
「嫌われたくないじゃん」
「う、ん?」
「美紗が自分とのことで中條さんとの関係が拗れたりしたら、美紗は傷付くじゃん。で、アキラ君と美紗と中條さんは、間違いなく微妙な関係になっちゃうでしょ?」
「・・・・・・うん」
「万が一2人が別れちゃった場合、今度は尚君がその理由を知るかも知れない。アキラ君と美紗の曖昧な関係を知る可能性は大でしょ?」
「・・・・・・」
「そうなった場合、アキラ君は尚君とも関係が微妙になると思うの」
「うん」
「一緒に住んでる中條さんとも確実に関係はおかしくなるだろうから。アキラ君の立場なら、黙って美紗の幸せを見届けるのが得策じゃないかね」
「そう――なのかな?」
「今のは全部仮定の話ではあるけど」
「うん」
「でも、好きな女の子を地獄に突き落とすようなことをしたその本人が、自分の手で美紗をどうにか幸せに――なんて、ちょっと無理な話でしょ?」
「まあ、そうだよね」