彼は、理想の tall man~first season~

「男になにを求めてんだか、」

――さっぱり解らねぇな。

小川は、楽しそうに笑いながら煙草をふかした。


確かにそうだ――と、そう思った反面、彼女が何故そう思うのか。

男にそれしか求めない、その理想というのは、なに故なのか?

その真意が、多少気になった。


少し酔っているような雰囲気はあるが、媚びた感じの甘さなどまるでない。

声だけの印象としては、女の子にしては、凛とした声。

そんな感じだった。


『――んとか、ないの?』

『え? 私が未練?」

『うん』

『うーん、全くない! それはない』

『まじで? 先輩かわいそう』

『ちょっと! 可哀想なのは私だって!』

『あのねぇ、ミサが選好みしなきゃ、付き合いたいって男は、わんさかいるんだからね?』


「アハハ、そりゃすげぇ! 一体どこぞの上玉なんだって話だけど」

「オイ、小川、聞こえるぞ」


小川の勝手な突っ込みに、何故か俺がヒヤリとしていた。


『そのわんさかの中に、いたらいいけど、190以上の男』
< 4 / 807 >

この作品をシェア

pagetop