彼は、理想の tall man~first season~
風に巻かれて流れ消える煙りを見ていたら、少しだけ疲れが取れた気がした。
親も知らないこの事実。
家族の中じゃ、尚輝だけが知っている愛煙家の顔を持つ私。
少し模様のある、この部屋の白い壁が、ヤニで変色することは避けたいけれど。
ベランダで吸う行為は、マンションの規定でNG。
だから、そうなる事の覚悟は、今からしていたりだ。
折角の双子なら、尚輝と同じ男だったら良かったのに――と、煙草を吸いながら思う。
親が来た時、もし私が喫煙者だなんてことがバレたら、何を言われるか。
引っ越しを機に購入した空気清浄機が、早速音を上げて、仕事をし始めた。
煙草を吸う行為ひとつ取ったって、女って色々あって面倒だ。
私はお酒もそこそこで、弱いとは言えないレベルで、ガンガン飲めちゃったりするもんだから、女としては余計に厄介。
流石に尚輝のペースで飲み続けるのは無理でも、飲み会とかじゃケロッと組だから、毎度毎度介抱役。
背が高いと、なんだか変に頼られたりもするから、友達の間じゃ昔から姉御的な立ち位置。
その立ち位置が定着すればするほど、疲れてしまって――。