彼は、理想の tall man~first season~
「そういう男なら、尚更しっかり捉まえとけよ」
「そう・・・・・・ですね」
本当にモテる男性というのは、自分から声を掛けなくも、女性側から声を掛けられて、アプローチを受ける。
そこにいるだけで、女性が寄って集る。
そういう女性と同類になりたくないとか――変なプライドが、私を変に意固地にもさせているんだけど。
――――って、あれ?
私って、敦君から付き合わないか的なこと言われなかった?
もしかして、それがイケメンの気紛れってやつなのかな。
「でも人間、顔じゃねぇぞ」
「え? あ、うん。それは、そうは思う、けど」
「解ってんならいいけどな。てめぇのこと大事にしてくれる奴を、しっかり見極めろよ」
大事にしてくれる奴――。
マスターにそう言われて、頭に浮かんだのは、何故か晃の顔だった。
いやいやいやいや。
晃の方が付き合いが長いってだけで、馬が合うだけだし。
私は軽くこんがりながらも、それは自分で納得させた。
「急に、なに?」
「あぁ? 心配してやってんだろ。お前ぇは、あんま恋愛上手じゃねぇから」
「それは、どうも、です」