彼は、理想の tall man~first season~

あ、お腹空いたかも――でも、疲れたから寝ちゃおうかな。

なにか作らないとって考えると、これまた面倒で。

だったらそれよりも睡眠へ――と思うのは自然な考えだ。

このとことん面倒臭がりな思考に、自分でも笑えて来た。

干物女って、こんな感じなのかな。

私は違う――そう自負していたけど、実際これが現実ってなもんで。

おもてなしと睡眠――どうしようかな、という天秤。


「美紗ーっ」

その時、尚輝がどこからか呼んでいるのが聞こえて来た。


「はいはい、もう、行きますよぉ」

そう、言いながらも、煙草の火は消さなかった。


中條氏を前にして、スパスパ煙草を吸うのは気が退ける。

まあ、お酒を飲むのも気が退けるけど。

でも、お酒か煙草かで考えたら煙草の方が気が退ける。


世間じゃ、煙草を吸う女を毛嫌いする男が多い。

女として見られたくない時は、格好のアイテムには違いないけど。

でも、女として見られたい場合は、それを隠しておきたいなんていう、愛煙家らしからぬ思考が頭の中で芽生える。

かと言って、猫被りは嫌。

吸っていないことを隠す事は、後々を考えると憚られる。


地でいける彼氏とか出来たら、どれだけ最高なんだろう。
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