彼は、理想の tall man~first season~
部屋の空気清浄機が繁忙期と言わんばかりの仕事をする最中、私は吸うだけ煙草を吸って、それを灰皿に押し付け消した。
客人に、おもてなしをしないワケにはいかない。
軽く着替えてエプロンを身にまとい、私はいざキッチンへ。
っていうか、さっきからその中條氏の姿が見えないけど、一体どこにいるんだろう?
そんなことを考えながらキッチンに入ると、中條氏がベランダから丁度入って来た。
そして、目が合い――特に理由なんてないけど、なんか気まずいと、そう思った。
だけど、目を逸らすことも出来ず。
「ここ、見晴らしいいね」
軽く固まっている私に、中条氏からは清々しさを前面にそう言われ、「はぁ」なんて、私の口からはマヌケな声がもれていた。
「あ、敦さん――」
どこからともなく尚輝がやって来て、中條氏にソファーに座るよう促した。
絶妙なタイミングだったなと、尚輝にチラリ目を向けると、何故か尚輝は私を見て、超スマイル。
――なに?
なんて思っても、こういう時は下手に聞かない方が無難だと、長年の勘が働いて。
「尚輝、今日はご飯、どうすればいい?」
私は平静さを装って、そう聞いた。