彼は、理想の tall man~first season~
確かに、連絡は取らなかった。
というより、取れなかったという方が正解には近いが――。
改めてこの激動の一週間を振り返って反省した。
彼女が俺からのそれを、多少なり気にしていたと聞けば、悪いことをしたな――という気になったが。
彼女が俺からの連絡を待っていたという可能性に、少しの光を見た気がした。
「美紗はあんまり慣れてないから、手を焼くと思いますけど」
「――え?」
「意外とそんな所が、新鮮かも知れませんね」
余り慣れていないから、手を焼くだろうけど、意外と新鮮かも知れない?
それって、恋愛が――ってことだよな?
どう捉えたらいいのか微妙に悩むことを言われ、愛想笑で返した。
そのタイミングで、「マサヤ」と。
トモコちゃんが満面の笑みでやって来た。
「どうだった?」
「OKだって」
「本当に?」
「うん!! だからあと1曲お願いして来た」
柏木君とトモコちゃんのその会話に、なにがなんだか意味が解らずだった俺は、顔を顰めていたのか――。
トモコちゃんにハッとした表情をされ、次の瞬間には、彼女からマシンガン級の速さで説明を受けた。