彼は、理想の tall man~first season~

見るからに仲は良さそうで、付き合いが長そうな――2人はそんな雰囲気を醸し出している。

俺も、いつか彼女と、そういう感じになれるのだろうか?

縮まりそうで縮まりそうもない距離感を思い出し、そこに至るまでは、まだ先が長いようにも思われた。


「尚輝は、席移動するのか?」

「あ、カズっち、どっか空かない?」

「んー悪い、ちょっと待てるかあ? なんでか今日混んでんだよな」

「いいことじゃん」

「暇で金もらえるのが一番いいけどな」

ここのバーテンらしき人物が、テーブルへカクテルを持ってやって来た。


「尚輝、いいじゃん、一緒に飲もうぜ?」

柏木君の言葉にトモコちゃんは高速で頷き、その後チワワのような目で尚輝を見つめていた。

「いや、カップルの仲に割り込むってさぁ」

「いいよ尚君! こっちは全くそういうの気にしないし! 和君これ下げてくれる?」

「はいよ」

トモコちゃんはなんだか一生懸命に場所を空けてくれた。

「折角なんで、一緒にどうですか?」

柏木君からそう聞かれ――そうですよと、ノリノリのトモコちゃんに言われたら――俺には断る理由はなく。
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