彼は、理想の tall man~first season~
chapter.24

「和君、お代わり下さい」

「はいよー、って今日結構ペース早くないか?」

「流石に今日は久々で緊張したから、無事に終わって解き放たれたって感じだから、飲ませて下さいよ」


ラストの曲を弾き終えて、着替えを済ませた私は、カウンターで褒美のカクテルを飲ませてもらっていた。


「OLよりも、この店の方が合ってんじゃないの? 楽しそうだったし」

「確かにピアノ弾くのは、楽しいけどねぇ」


カウンター越しに和君と会話。

やっぱりピアノを弾くのは好きだし、このお店も好き。

これが職業というのも、悪くないけれど――。

ただ、職としていないから楽しめる部分もある。


「会社辞めて、戻って来たらどうだぁ?」

「んー、お給料が倍なら考えようかな」

「それ、俺より給料いいんじゃないの?」

「和君がこの社長を口説き落としてよ」

「俺? 俺、過去に何回か交渉を試みたけど、」

「ああ、マスター、ケチだから夢の話で終っちゃった?」

「そうそう」

和君と笑い合い――。

「なんだと!?」

隣のマスターはご立腹。
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