彼は、理想の tall man～first season～

数度目のドキドキは、どこか懐かしく――。

間近で見た中條氏の顔は、思っていた以上に、私には刺激が強かったみたいだ。


甘いマスクというか、なんというか――パーツそのもの自体がいいんだろうな。

目が茶褐色で、笑うとよりやわらかい印象をこちらに与える。

髪は短髪で、目の色に比例して、これまた茶褐色。

カラーリングの類ではなさそうだから、元々がそんな感じなんだろうか？

伸びたら少し癖のありそうな、柔らかそうな髪質。


何故ドキッとなんてしたのか、そこまで観察をしていたくせに――よく言うよ、私も。

そんな自分にやっぱり私自身が驚かされ、そして呆れていた。


尚輝の会社の上司様なんて、恋愛対象外だし。

あるかないかで考えたら、間違いなくないのに。


やっぱりあまりこちらのエリアには近付かないでおこうと決めて、尚輝が名前について、中條氏と話す傍ら、私は足早にキッチンに戻った。