彼は、理想の tall man~first season~
「まあ、私に言われても説得力にかけるだろうけど。あの男3人は相当強いからね」
「はい」
――はい、だって。
なんだろう、可愛いな。
高校生の頃はもともと顔の整った可愛い男の子って感じだったけど。
愛想があんまりなかったんだよな。
だけど、今の奏君は表情が昔よりも明るくなって、男らしさも増した気がする。
「それじゃあ、またね」
「っ! 先生、」
「うん?」
奏君に焦ったように呼び止められて、どうしたんだろうと思っていると――。
「今日は、会えて嬉しかった」
奏君は少し照れ臭そうにそう言って。
目が合うと――軽く前髪をかいていた。
「そうだね。私も久し振りに奏君の元気な姿が見られてよかった」
「――本当に?」
「うん。ピアノも表現の仕方がだいぶ変ってて驚いたし。あ、勿論いい方向に、だけどね」
「マスターには、たまにダメ出しされるけど」
「そっか。でも、マスターの言うことって、的確で解りやすいでしょ?」
「んー、先生の方が解りやすいかな」
「そうだった?」
「うん。俺に必要なモノを、的確に指摘してくれたのは、後にも先にも先生だけだし」