彼は、理想の tall man~first season~

窓を全開にして、カウンターに置いてある灰皿を取り、それを持って私は敦君の隣に腰を下ろした。

だけど、改めてこの部屋に2人きりという状況に、今更ながら緊張し始めた。


「吸ってもいい?」

「あ、どうぞ、どうぞ」

「吸わないの?」

はい――と、私の返事を待たずして、煙草の箱を渡され、私はその煙草を1本もらい。

2人して、コーヒーを飲みながら、ゆっくり煙草を吸って、一息ついている、そんな構図。

生温い風によって、ひらひらとレースカーテンが揺れる中、私はもう少しだけ、寝ずにこのまま一緒にいたいと思っていた。


「明日は、何時に出ようか?」

「お友達の方とは、待ち合わせですか?」

「んー場所が分かれば問題ないとは思うけど」

「昼間は看板出てないから、分かりにくいかも知れないですけど」

「それなら、待ち合わせた方がよさそうだね」

「ですね。待ち合わせるなら、嬰の最寄り駅とかでいいですかね?」

「うん、そうしようか」


今日タクシーを拾った駅で、待ち合わせることに決め、私達はマンションを12時に出ると決めた。

ただ、やっぱりこういう話になってしまうと、フランクには話せなくて凹む。
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