彼は、理想の tall man~first season~

あーあ、と思った。

ってか、なにが、あーあ、なのか。

そんなことを思った自分にやっぱり呆れた。


ただ、座ったままの中條氏に、しっかり笑われていて。

尚輝の足を思い切り踏んづけてやりたい気分になった。


でも、まぁ――これで完全に私が女であるってことが、中條氏の中で消滅した気もするから、逆に開き直れてよかったかも。


もういいからあっちで飲むぞ――そう言いながら、再びキッチンへ現れた尚輝。

その逃れられない状況に、冷蔵庫からビールを数缶取り出し、私もリビングへと移動した。


「美紗は結構飲むんですよね」

とか、尚輝はまだ余計なことを言っていて。

これ以上余計なことを言われるのも癪に障りますけど?

なーんて思っていた私は、

「あの、ビールの他にもありますけど?」

――と、中條氏に話を振ってみた。


「作ってもらった分際で言うのもあれなんだけど、1回ゆっくり座ったら?」

全く酔ってもいない素振りの中條氏。

その中條氏から、そんなことを言われたら、座らないわけにもいかなくて。

私はダイニングテーブルのイスに置いてあるクッションを引っ張り下ろして、床に座った。
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