彼は、理想の tall man~first season~
「美紗、こっち座れよ」
「え? いいよ、ここで」
「今日は疲れたろ? こっち座っといた方がいいぞ」
ソファーに座っていた尚輝が、立ち上がってしまったから、私は意固地にもなれず、中條氏が座る3人掛けのソファーに座った。
一緒のソファーと言っても、ちょっと間を空けたからいいんだけど。
それでも下手に緊張するなぁ、なんて――ガラにもなく思う始末。
取り合えず、数缶は飲んでいる男2人と、確実に1缶を飲んだ私は、軽く乾杯をして。
自分で作った料理を食べつつ、ビールを流し込んだ。
味覚なんて人それぞれだから、濃すぎず薄過ぎずに気を付けて味は付けた。
味が足りないようなら、自分で足せるようにもしておいたし。
つまみながら、それなりにいい出来かな、とか思っていた。
普段から、味にうるさい尚輝からは、今日はノンクレーム。
中條氏からは――、
「短時間で、これだけ作れるって、ハイセンスだね」
料理がハイセンスだなんて、生まれて初めて言われて。
びっくりし過ぎて、声もだせずで、瞬きしか出来なかった。