彼は、理想の tall man~first season~

「怖いなら、手繋いでようか」

「――え?」


優しい声でそう問われ、ドキドキした――けど、何かが違うと思ってしまった。

それは、私には本当の意味で一緒に寝ることを、敬遠しているように聞こえた言葉で。

敦君にどう思われているか、急に不安になった。

手の温もりより、今は体の温もりが、なんとなく必要な気がする。


さっきはちゃんと抱きしめてくれたのに、一緒に寝るのは敬遠するの?

一緒に寝るって、ただ同じ部屋でって意味で言ってたの?

大人の男性の思考は、私にはイマイチ理解出来なかった。


優しく接してくれていたと思っていると、とんでもなく私を勘違いさせて。

「そこまで私、子どもじゃないです」

思わず口から出ていた言葉に、敦君がフッと笑ったように、息を吐いた。


そして――

「子どもじゃないから、」

「え?」

だから困ってるんだよ――と。

敦君は、何故か困ったようにそう言った。


「それって、どういう――」


バリバリバリ、ズドドーン!!


「――っ!!」


鎮まり始めていると思っていた雷音が、再び近場に落ちる音が聞こえて、私は咄嗟に目を瞑り耳を塞いで突っ伏した。
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