彼は、理想の tall man~first season~
その直後、ギシリとベッドの右側が軽く沈んだ。
「大丈夫?」
と、敦君の声。
それはベッドに腰を掛けての問いなのか――耳は塞いでいたけれど、なんとなく頭上から聞こえた気がした。
ただ、私はそれには応えられずで、激しい雷雨が一刻も早く止んで欲しいと、願った。
度重なる恐怖と、繰り返される緊張。
なんだか酷く疲れを感じる。
時間も時間だし、なによりお酒を多量に体内に流し込んでいるから、まぁそりゃそうだろうって感じだけど。
「体、起こせる?」
塞いでいた手は、敦君の手によって解かれ。
頷いて体を起こすと、敦君にゆっくり引っ張り寄せられた感じで。
ふわりと――敦君の腕の中に、私の体は移動していた。
「俺も男だから、」
「――え?」
「好きな子の隣で寝て、手を出さないで居られる自信なんてないんだけど、」
「――え?」
「でもやっぱり、放ってもおけないから」
「―――」
「一緒に寝ようか」
言われた事への驚きによって、顔を上げた私。
聞きたい事は勿論あった。
けれど――
「今日はこれだけで我慢するから、これだけは許して」
―――と。