彼は、理想の tall man~first season~

言葉の意味が解らず、戸惑いの私を余所に――

敦君は私に――触れるだけのキスをした。


それは、じれったいくらい、優しく触れただけのキスで――。

離れていかれるのが、惜しいと思ってしまうような――とても優しいキスだった。


敦君の腕の中で、僅かな触れ合い。

その僅かな触れ合いに、異常なくらいドキドキしていた私は、自分が違った方向で、勘違いをしていたことに気が付いた。

敬遠されていると思っていたけど――どうやら理性的問題で、避けられていたみたいだ。


―――ん?

でも、好きな子の隣で寝て――って。

それって――もしかして、私のこと?


サラリとだったけれど、聞くことが出来た敦君の気持ちにも、私は改めてドキドキし始めた。

ただ、きちんと私の気持ちも知って欲しい――。

サラリとでも、敦君に言って貰えて嬉しかった私は、そう思った。


だけど――ゴロゴロ~と。

雷鳴に邪魔されて、抱き留められていたのをいいことに、私は敦君にしがみつく事しか出来ない。

頭を優しく撫でられ、敦君は私を落ち着かせてくれて、ベッドに寝るようにいざなった。
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