彼は、理想の tall man~first season~
2人で寝るには間違いなく狭いベッドに自らの身を横たえ。
もぞもぞと動きながら、どういう体勢で寝ようかと、心も体も落ち着かない。
高まる緊張感と鼓動。
「狭くない、デスカ?」
キスの後、初めて口を開いた私は、やけに緊張で。
フッと笑った敦君は、「大丈夫だよ」と――突然なにやら体の方向を変えて、動き出した。
枕下の手前に腕が入り込んで来て、必然的に何事かと上体を軽く上げ、それを避けた私。
敦君の長い左手が、私の左肩を掴むと、私の体は敦君の方に寄せられて。
気付けば腕枕をされている体勢で、向かい合わせで寝ていた。
尋常じゃないくらいドキドキしている私を余所に――大人の男の余裕なのか?
腕枕をしてくれている手が、私の後頭部の髪をいじっている。
さっき、これだけは――と言ってキスをして、でもそれ以上のことはしないようなことを言ってくれたから。
あれ以上のことはないと分かってはいても、私の心臓は、ありえないくらいに落ち着いてくれない。
だけど、こういう寝方って。
こういう腕枕のやり方って。