彼は、理想の tall man~first season~

腕への直接的な負荷を、枕で回避ってことで。

こういうことをし慣れていると思ってもおかしくない寝方だ。


まぁ、私なんかより、断然こういう事の経験は豊富なんだろうけど。

モヤモヤな気持ちが胸の中で蠢く――。


私と敦君の経験値的天秤は、間違いなく敦君の方にガクンと下がって軍配で。

私は宙に浮かされて、その高さに戸惑うみたいな――そんな感じだと思う。


眠れもしなくて、ただ敦君の鎖骨ら辺を暗闇の中ジッと見ていると、少し敦君が上体を動かした。

そして、「寝ないの?」と――目を開けていたのがバレていたらしい私は、顔を覗き込むようにそう聞かれて。

心拍数が更に一気に上がる。

そんな感じだった。


「ちょっと、緊張しちゃって」

「ん?」

「――こういうの、慣れていないので」


どれだけお子様に思われるんだろうって思うと、下手に恥ずかしくなって、敦君の胸に額をトンと預けた。


すると、敦君は――参ったな、と。

ひと息吐いた感じだった。


「あんまり、かわいいことしないの」

「え? なにが、ですか?」

「ん? なんだろうね」

「――はい?」
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