彼は、理想の tall man~first season~
「敦さん、美紗はなんでもそうだけど、ダラダラやるのが嫌いなタイプだから、効率重視で、味は二の次タイプですよ?」
絶賛戸惑い中だった私の代わりに、尚輝が返答。
私の味を未だに認めていないことが、遠回しに尚輝の口から放たれたに等しくて、軽く殺意。
だけど、
「料理って、その人のセンスが諸に出ない?」
ま、俺は自分でやらないんだけど――と。
この盛り付けと味付けなら、かなりハイセンスだろ――と。
中條氏は、そうのたまった。
中條氏に、お世辞でもそんなことを言われて喜ばない女はいないと思った。
それは、私も例外でなく。
だけど、2人暮らしがそこそこ長いもんで――なんて、私の口からはかわいげのないそんな言葉しか出てこなかった。
尚輝は、それを聞いて吹き出して笑い出した。
それでも、中條氏は「羨ましいな」と。
私の心情を読み切って笑っていたであろう尚輝を無視して、そんな意味不明な言葉を、私に顔を向けて放った。
雰囲気が落ち着いていて、人間的柔らかさをそこから感じ。
間違いなく性格は悪くないと。
そういう変なニオイは、微塵も感じなかった。