彼は、理想の tall man~first season~
「男を刺激するには充分なんだけど」
「え――なん、ですか?」
「うん? なんだろうね」
さっぱり意味が解らなくて、その答えを求めても、まともに返して貰えずで。
私には、次の言葉が見つからなかった。
暫くお互いに無言で、外からも音はなく。
だけど、この静寂は――
ブーッブーッ、ブーッブーッというバイブ音で、破られた。
「誰だ? こんな時間に」
どうやら敦君の携帯に着信みたいで、敦君は手にした携帯を開き。
そして、携帯画面の光が、暗い部屋の中で活躍したことによって、敦君が顔を顰めたのがハッキリと見えた。
こんな時間に着信なんて、一体誰なんだろう?
心の中で抱いた疑問に、体を起こした敦君は、「尚輝からだ」と――。
聞いた訳ではなかったけれど、教えてくれた。
っていうか、なんでこんな時間に尚輝から?
――なんで?
それだけが、頭の中を巡る。
敦君は、ベッド端に座り直しながら、通話ボタンを押し、「はい」と――落ち着いた感じで口を開いた。