彼は、理想の tall man~first season~
chapter.26

耳を澄ますと『あ、敦さん?』なんて、尚輝の声が漏れ聞こえて来る。

「おお――どうした?」

そして、次に聞こえて来た言葉は、『そっち雨降ってる?』という問いと。

降ってると答えた次には、『雷は?』なんて、そんな問いだった。

「さっきどっかに落ちて停電した」

『え? マジで?』

「ああ――今は、だいぶ落ち着き始めたけど、まだ完全には鳴りやんではないかな」

『そんなに凄かったの? じゃあ、美紗は?』

「ん?」

『あいつ雷ダメだから気になって。いや、煙草買いに外に出たら、こっち今凄い雷雨でさ。ネットで調べたら、そっちも凄そうだったから気になって。美紗に電話したんだけど、あいつ出ねーから』

夜中って、こんなに声がダダ漏れするものなんだろうか?

それにしても、尚輝は、私を心配して電話を掛けて来たの?

でも――敦君がここに泊まるって、尚輝は知らないハズ――だよね?


『晃から電話あってさ。敦さん鍵忘れたかなんかで――』

だけど、尚輝は敦君がここにいると解っていて、掛けて来た雰囲気だった。


どうやら、晃から尚輝に敦君を泊めてくれって電話が入ったみたいで――。
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